食中毒の知識と予防
飲食後に急に発熱や腹痛が起こったり、下痢になったりすることがあります。ことに食べ物などとの関連性が強い場合には、食中毒を疑ってみることが大切です。食中毒とは、汚染された食物または飲料水を摂取し、それが原因で中毒症状を起こす場合をいいます。今回は、食べ物や飲み物に細菌が付着しているのを知らずに摂取してかかる、細菌性のものについてお話します。
●食中毒の症状とタイプ
細菌性の食中毒の一般的症状は、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、発熱です。その他、細菌の種類によっては、血便などいろいろな症状を伴うことがあります。
細菌の種類によって食中毒は三つのタイプにわけられます。
1.感染型食中毒:食物摂取後12時間〜48時間くらいで発病します。
|
(1)侵入型 |
| |
|
■サルモネラ菌、エルシニア、腸管組織侵入性大腸菌による食中毒。
腸の組織内に侵入して、腸炎を起こしたり、リンパ節が腫れたりします。ときに便に血液が混じることがあります。
■サルモネラは卵や鶏肉などの中にいます。
十分に火が通っていない食品を食べると感染します。症状は腹痛・下痢・38〜40℃の発熱などです。 |
|
(2)生体内毒素型 |
| |
|
■腸炎ビブリオ、エロモナス、カンピロバクター、病原性大腸菌、毒素原性大腸菌、腸管出血性大腸菌などによる食中毒。
菌体内に毒素を作るために中毒症状が起こります。
1996年(平成8年)に発生した、大阪府堺市の病原性大腸菌O−157による集団食中毒が典型例です。大腸でベロ毒素という強力な毒を作り、その結果激しい腹痛と下痢を生じます。
|
2.毒素型食中毒
| |
■ ボツリヌス菌やブドウ球菌による食中毒。 |
| |
■ ボツリヌス菌は筋肉麻痺性の毒素を作り、菌体外に放出するため、呼吸筋麻痺などを起こします。潜伏期間が6〜12時間と短く、死亡率も高いです。 |
| |
■ ブドウ球菌性食中毒は、仕出し弁当や会食など集団食中毒のことが多いです。
2000年(平成12年)には、雪印乳業の乳製品による集団食中毒事件が起きましたが、黄色ブドウ球菌が作るエンテロトキシンという毒素による中毒でした。またこの毒素は熱に強いので、煮ても焼いても活性を失いません。
|
3.中間型食中毒
| |
■ウエルシュ菌やセレウス菌による食中毒で、感染型と毒素型の両方の性質を持っています。 |
●食中毒の治療
細菌性の食中毒は、軽い場合は少し節制すれば自然に回復します。しかし、乳幼児や高齢者では脱水・腎機能障害・意識障害になりやすいので要注意です。また若くて普段は元気な人でも、嘔吐、下痢が激しく脱水症状が強い場合には、抗菌薬等による薬物療法や水分・電解質を補給する必要があります。絶食・絶対安静とし、常温のスポーツ飲料(イオン飲料)や白湯を多量に飲み、点滴注射による輸液をすると、尿量も増え早く楽になり治ります。
|