生活習慣病とメタボリックシンドローム
〜両者の深い関係と予防対策〜



@ いわゆる生活習慣病の進展は、脳・心血管障害(CVD)を高率に招きます。すなわち、高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満症などは、いずれも非常に高い危険因子です。
A またメタボリックシンドロームは、軽症の高血圧、糖尿病、高LDLコレステロール血症または低HDLコレステロール血症、高中性脂肪血症、肥満症等の複数の因子の積み重なりが起こっている状態です。
B 更に、糖尿病ならずとも耐糖能異常を伴うものは、脳血管障害や心血管障害を高率に引き起こすことが明らかになっています。
C つまりメタボリックシンドロームも、脳や心血管障害のイベントを高率に発症する危険因子の一つです。
D メタボリックシンドロームはドミノの駒の行進に例えられます。一つ一つの駒は小さくても、ぎっちりと進んでいる状態では、一つの駒が前倒しになると、次々に前の駒が倒れて大きな力となり、一番目の大きな駒を倒してしまう事態(イベント)を招くことになるのです。
* 中高年の動脈硬化の予防 *
@ 心血管病代謝リスクの性別、世代別の特徴とメタボリックシンドローム或いは耐糖能異常があることを考慮して、各人に適したきめ細かな対策が必要です。
A 加齢に伴う変化があり、それに応じた運動療法や食事療法が基本です。
B これによって、腹囲や内臓脂肪、高血圧は改善されますが、血糖コントロールは不十分のことが多く、血糖降下薬の服薬が必要なこともあります。
C このような場合には、主治医の食事・運動・生活指導が欠かせません。

* 脳卒中の予防 *
@ 日本人の脳卒中の実態解明を目的とした久山町研究から、肥満、高コレステロール血症は年々増加しているが、耐糖能異常は指数関数的に増加していること、更に脳梗塞発症率は、糖尿病発症以前である耐糖能異常においても、健常人に比べて有意に高いことが明らかとなっています。
A すなわち脳卒中の危険因子として、糖尿病のみならず、耐糖能異常もその有力な危険因子であることになります。
B また血糖の管理だけでは予防は不十分であり、血圧管理と脂質管理も同時に行なうことが必要です。
C 脳卒中の二次予防すなわち再発予防については、一次予防以上に厳重な管理が必要であり、各種の危険因子の総合的な管理が必要です。
D 更に二次予防には、抗血栓療法を要します。最近は新しい抗血栓療法薬による強化治療が行なわれるようになっています。

* 慢性腎疾患(CKD)と心血管障害(CVD) *
@ 慢性腎疾患の予後を決定する二つの要因は、末期腎不全への進行と心血管障害の発症です。
A 急性心筋梗塞発症患者の1/3は、慢性腎疾患を有していたと報告されています。
B また心血管障害を発症すると慢性腎疾患の進行も早まります。
C 心血管障害発症の要因には、高血圧、糖尿病、高脂血症等の生活習慣病やメタボリックシンドロームの危険因子に、更に腎疾患関連の危険因子が加わります。
D 蛋白尿が多いほど、また糸球体濾過量が低下するほど、心血管障害の発症率、死亡率が高くなります。
E 心血管障害予防対策では、生活習慣の改善、即ち禁煙、食塩制限、肥満やメタボリックシンドロームの是正に、原疾患の治療つまり高血圧、糖尿病、脂質異常、高尿酸血症などの治療を行い、慢性腎疾患の段階の程度および尿蛋白の有無によって治療を決めます。
F 蛋白陽性の慢性腎疾患では、より厳格な降圧治療が重要です。



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