食中毒はいま−感染性胃腸炎の現状−

食中毒とは
 何らかの有毒物質や病原菌が、経口的に胃腸に入っていろいろな急性の症状をきたした場合を、食中毒といいます。
 現在では、化学物質などの毒物によることはほとんどなくなりました。一方、食物中の自然毒による中毒があります。すなわち、動物性では“ふぐ毒”がその代表です。植物性では“きのこ類”が最も多いといわれています。
 そして、食中毒で最も多いのはやはり病原菌によるものです。現在、食中毒をコレラや赤痢などと区別せずに、すべて感染性腸炎あるいは感染性胃腸炎と呼びます。

「感染性胃腸炎の主な原因菌」
*細菌性ではカンピロバクター属、サルモネラ属、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ、赤痢菌やコレラ菌もあります。
*ウイルス性ではロタウイルス、小型球形ウイルス(SRSV)、エンテロウイルス、アデノウイルスなどです。
*原虫ではクリプトスポリジウム、稀に赤痢アメーバ。

2002年(平成14年)の食中毒総件数は、1850件27,629人で死亡者は18人でした。


疫学状況は?
 一般医療機関の感染性胃腸炎からの主な病原菌検出状況は、患者の75%前後が10歳未満の小児です。4大病原菌はカンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌、腸炎ビブリオです。

1. カンピロバクターは、1986年(昭和61年)当時、年間7,000人余りでその後徐々に減って、'94年頃は4,000人弱となり、2002年には447件2,152人と減少しています。
2. サルモネラは、逆に'86年から徐々に増えて'96・'97年では3,000人、2002年には465件5,833人と増加し2人死亡しています。
3. 病原性大腸菌は、'02年で83件1,367人発生しています。
4. 腸炎ビブリオは、夏季に集中発生します。'02年には229件2,714人でしたが、死亡例はありませんでした。
5. ロタウイルスは、冬季に乳幼児から多く検出されます。
6. 小型球形ウイルス(SRSV)による食中毒は、2002年に268件7,961人も発生しています。


食中毒集団発生!
 現代の日常生活様式自体が、食中毒やその集団発生を起こしやすいと考えられています。最近では大型化、広域化する傾向があります。
 従来の主要な病原菌は、腸炎ビブリオ、サルモネラ、黄色ブドウ球菌でしたが、1996年(平成8年)以降、腸管出血性大腸菌が加わっています。
 また、カンピロバクターとウエルシュ菌は、一件あたり100人以上の大型食中毒を起こすことが多くなりました。
 そして小型球形ウイルス(SRSV)が、1997年から食中毒の病原菌に加えられました。
 原虫であるクリプトスポリジウムは、大規模な水系感染を起こす危険があります。

感染経路
 食品や水を介して経口感染します。ヒトからヒトやペットからの接触感染もあります。

潜伏期間
 病原菌にもよりますが、腸炎ビブリオは6〜12時間、サルモネラでは12〜36時間、病原性大腸菌では12〜72時間(腸管出血性大腸菌を除く)、カンピロバクターは2〜11日、ロタウイルスが1〜3日です。

感染期間
 糞便中に排菌している期間、通常症状のある期間ですが、サルモネラは症状軽快後も排菌が続くことがあります。即ち保菌者となることもよくあります。

症  状
 原因菌にもよりますが、発熱、下痢すなわち水様便、血便、腹痛、悪心、嘔吐などです。発熱が先行して、下痢が遅れて出ることもあります。
 カンピロバクターでは、2〜5日で軽快しますが再燃したりすることがあります。
 サルモネラでは発熱、腹部症状が続き、腸管部位以外の感染の危険性もあります。
 腸管出血性大腸菌では、特徴的な腹痛や血便の他に、溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こして死亡することもあります。その他の大腸菌では特に特徴はありません。


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