●がんの告知について


がんの告知は是か非か!
 患者にがんにかかっていることを知らせ、現在のがんの進み具合や今後の経過(予後)、可能な治療法について説明することをがんの告知といいます。以前は、できれば告知しない方が患者にとってプラスであるという、暗黙の了解がありました。しかし、注意深く、慎重にあくまでも医学データに基づいた冷静な告知は、「患者自身が残された人生をどう生きるかという患者の権利」を重視し、残された時間をその本人が有効に過ごすチャンスを無駄にしないという点で、大切なことと考えられるようになりました。

インフォームド・コンセントとは?
 患者本人とその家族の両者に病名と病状をありのままに伝え、可能な治療法の選択を、患者と家族の同意に基づいて決定することを、インフォームド・コンセントと言います。
治療法を選択する権利は、あくまでも各個人にあるという考え方に立てば、ホスピス、尊厳死、リビングウィル、移植医療、生殖医療、再生医療などの問題と共に医学倫理上の重要なテーマとして、国民の理解とコンセンサスを得るよう真剣に考えていかなければなりません。


がんの告知をうけても・・・
 しかし、実際にがんの告知を受けた患者のほとんどが、病名を知って良かったと、自信をもって言えるかどうかには疑問があります。我が国では、個人の生活がしっかりとした人生観・死生観や宗教・哲学・社会思想の裏づけに基づいていないという、社会的背景があります。告知によって精神的に落ち込んだり、かえってそれが死期を早めるようなことにもなりかねないのです。

告知が可能な場合
 医学知識のみならず人間的にもすぐれた医師が、患者に共感しつつ、誠実にがんを告知することが先ず第一です。さらに告知される患者の方も、しっかりとした自分の人生観・価値観や判断力、知性を持ったものでなければなりません。この「がんの告知」は患者の色々な背景を熟知し、見極めた上で行われなければ、がん患者にとってマイナスとなり不幸をもたらします。

今こそ問われる“医師と患者の信頼関係”
 がんの告知・脳死・安楽死・遺伝子治療・臓器移植・再生医療・生殖医療など、医学の進歩にともなって多くの問題が提起されています。そのどれもが、医学の急速な進歩と人間の尊厳やかけがえの無い生命との間で、価値判断のずれ、生命倫理・医の倫理が問われているものばかりなのです。現時点で少なくとも言えることは、“医師と患者の信頼関係”の上にたって、ケース・バイ・ケースで対応・解決していかねばならない難問題だということです。


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