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お酒や食物で「がん」になる!
●死亡リスクとお酒
お酒をたくさん飲む人は、飲まない人よりも死亡リスクが高くなります。そして、少し飲む人がまったく飲まない人よりも長生きするかどうかは、研究結果が分かれています。多目的コホートでは、日本酒換算にして1日3合以上飲むグループの死亡リスクは、飲まないグループの1・3倍でした。また、1日1合未満飲むグループでは、リスクが36%低く抑えられました。総合的にみると、お酒を少し飲むグループで最もリスクが低いJ型の傾向がみられました。
また、がんによる死亡だけを取り出してみても同様の傾向がありましたが、大量飲酒によるがん死亡リスクは、1・5倍とより高くなりました。さらに、喫煙者と非喫煙者に分けてお酒の影響をみると、非喫煙者の全がん死亡リスクは、お酒の量によっては変わりませんでしたが、喫煙者ではお酒の量が増えれば増えるほど高くなり、毎日3合以上のグループでは、時々飲むグループの3・6倍でした。
飲酒関連がんは:口腔、喉頭、咽頭、食道、肝臓、乳がん
*日本酒1合:エタノール換算で23g、焼酎0・6合、泡盛0・5合、ビール大瓶1本、ワイングラス2杯、ウイスキーダブル1杯に相当。
●がんとお酒
お酒を沢山飲む人では、がんのリスクが高くなることが知られています。
多目的コホートの男性では、1日3合以上飲むグループのがんのリスクは、時々飲むグループの1・6倍でした。がん全体の13%は、お酒を1日2合以上飲む人がいなければ予防できたものと考えられます。
さらに喫煙者と非喫煙者に分けてお酒の影響をみると、非喫煙者のがん全体のリスクは、お酒の量によっては変わりありませんでした。しかし、喫煙者ではお酒の量が増えれば増えるほど高くなり、毎日3合以上のグループでは、時々飲むグループの2・3倍でした。飲酒関連がんリスクは、どちらもお酒によって高くなりましたが、それ以外のがんリスクは、喫煙者だけにお酒の影響がみられました。
●胃がんとお酒
お酒で胃がんリスクが高くなるという研究結果は、これまでほとんどありません。多目的コホートでもお酒の量は、胃がんリスクとの関連がみられませんでした。ただし、噴門がん(胃がんの2割未満)では、お酒の量が多いグループほどリスクが高くなる傾向がみられました。
●大腸がんとお酒
お酒を沢山飲む人では、大腸がんリスクも高くなると考えられています。
多目的コホートでも、男性ではお酒を1日1合以上飲むグループの大腸がんリスクが高くなり、2合以上のグループでは、飲まないグループの2・1倍でした。
男性の大腸がんの24%は、お酒を飲んでいなければ予防できたものと考えられます。
●胃がんと野菜・果物
多目的コホートでは、野菜と果物の摂取によって、胃がんリスクを低く抑えられました。野菜や果物の摂取日では、週に1−2日以上食べるグループのリスクは、ほとんど食べないグループに比べ20−50%低く、果物も同様に30%低く抑えられました。ただし、週1−2日より多いグループで更にリスクが低くなる傾向がみられませんでした。
●肺がんと野菜・果物
これまで多くの研究から、野菜や果物を多く摂ると肺がんリスクが下がると報告されています。しかし、多目的コホートでは、野菜や果物を最も多く摂るグループでも、肺がんリスクを抑えることはできませんでした。
●胃がんと食塩・塩蔵品
食塩、塩蔵品を摂りすぎるのは、胃がんの原因であり、日本に胃がんが多いことの一因となっていると考えられます。多目的コホートの男性では、食塩の摂取量が最も多いグループの胃がんリスクは、最も低いグループの2・2倍でした。女性では、食塩摂取量によるリスクの差はみられませんでした。
塩分の多い食品を取り上げて胃がんとの関連をみると、塩分濃度が高い塩蔵魚卵(たらこ、いくらなど)をほとんど毎日食べるグループのリスクは、ほとんど食べないグループに比べ、男性で2・4倍、女性で3・5倍でした。塩辛・練りウニでもほぼ同様の結果でした。
●胃がんと食生活パターン
食事という生活習慣を総合的に検討するために、44品目の食事摂取頻度アンケート調査の結果から、男女それぞれの主要な食生活パターンを「伝統型」、「健康型」、「欧米型」の3タイプに分類することができました。
すると、「伝統型」の傾向が強いほど胃がんリスクが高くなり、最も弱いグループに比べ男性で2・9倍、女性で2・4倍でした。「伝統型」では、塩蔵魚卵、漬物、魚の干物など、塩分の高い食品が多いという特徴のためと考えられます。その他、女性では「健康型」の傾向が強いグループでリスクが低く、男女とも「欧米型」かどうかは、胃がんリスクには関与しないという結果でした。
●大腸がんと魚
動物実験や培養細胞実験などの結果から、魚に含まれる脂肪酸の大腸がん予防効果が注目されるようになりました。多目的コホートでは、魚の摂取量、必須脂肪酸のうち魚に多く含まれる、オメガ3脂肪酸の割合によって大腸がんのリスクが変わるかどうか調べました。
しかし、それらの摂取量や割合が最も高いグループでも、最も低いグループに比べて低く抑えられることはありませんでした。多目的コホートには、もともと魚をよく食べる人が多いため、魚の摂取量が最低のグループでも、大腸がんの予防に十分な量は摂られていたのではないかと考えられます。
●乳がんと大豆・イソフラボン
乳がんの原因となる、女性ホルモンのエトロゲンの活動を妨げ、乳がんに予防的に働くと言われるイソフラボンの摂取源は、ほとんどが“みそや豆腐などの大豆製品”です。多目的コホートでは、大豆を多く含む食品やイソフラボンの摂取量による乳がんリスクを調べました。
その結果、1日3杯以上みそ汁を飲むグループでは、1日1杯未満のグループより乳がんリスクが40%低くなりました。イソフラボンの摂取量については、最も多いグループでは、最も少ないグループよりもリスクが54%低くなりました。
さらに閉経後のグループでは、摂取量が多ければ多いほどリスクが低くなり、最も多いグループでは最も少ないグループよりも68%も低く抑えられました。
●胃がんと緑茶
緑茶が胃がんを予防するかどうかは、日本の大規模調査でも結果が分かれています。多目的コホートでは、緑茶をよく飲む女性で胃がんリスクが下がり、1日あたり5杯以上飲むグループでは、1杯未満のグループに比べ33%低く抑えられました。
がんの部位を胃の下部3分の2(胃がんの8割以上)に限ると、1日あたり5杯以上飲むグループのリスクは49%低くなりました。胃の上部にできるがんでは熱い飲食物がリスクになるため、緑茶の効果がうち消されるのでないかと考えられます。
●がんと体型
多目的コホートの男性では、やせていても太っていても、標準体型の人よりがんリスクが高くなりました。BMIが21〜29の範囲では、がんリスクに差がありませんでした。BMIが19未満のグループのがんリスクは、BMIが、23〜24・9のグループの1・3倍でした。
また、BMIが30以上の非常に太っているグループでもリスクの高くなる傾向が見られました。
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