乳房のしこり


1.
確かに、触診だけで早期乳がんを診断することは、必ずしも容易ではありません。しかし、しこりを触れることは、思ったより簡単です。自己触診法に従って、まずしこりをさがして下さい。
2.
ていねいに乳房を触れると、軟らかい脂肪の下に、ある程度凹凸のある、脂肪より硬く感じる乳腺の組織を触れます。生理のときは、それがより硬く触れます。正常な乳腺は、ある程度硬く触れても、孤立したしこりではなく、どこが境界か分からない連続した塊として感じられます。
3.
自己触診でみつけたいのは、まわりの乳腺とは孤立した、ある大きさをもつ塊で、板や石のように弾力性のない硬いものです。
4.
しこりを見つけたら、すぐかかりつけ医に相談して下さい。乳腺がやや硬いだけで異常ではないかもしれませんが、その経験をその後の自己触診で役立ててください。
5.
乳房のしこりは、がんだけではありません。代表的なものに乳腺症があります。ホルモン分泌の異常で、乳腺に変化があった時に乳腺症になることから、閉経前に多く見られます。圧痛があることもあり、境界がはっきりしない塊のこともあります。また、表面に小さなゴツゴツしたものを触れたり、表面が滑らかな円い隆起のこともあります。乳腺症は良性のものですから、診断が確定したら放置しておいても良いでしょう。
6.
ただし、毎月の自己触診は続け、6カ月〜1年に1回は乳房の超音波検査を受けましょう。
7.
乳がんの家系の方や更年期以後の方は、1〜2年に1回は、必ず乳房X線検査(マンモグラフィ)を行い、微細集簇石灰化異常所見等で、数mmサイズ異常の微小乳がんを早期発見・治療したいものです。

各種乳腺腫瘤の所見

  乳がん 乳腺症 線維腺腫 その他
球形〜卵形 早期の浸潤癌 中等大以上の嚢胞 よくみる 乳汁嚢胞、implantによる豊胸術
分葉形 腺葉被膜で境された時 嚢胞の集まっているもの 多い、切れ込みは浅い 脂肪腫(柔らかい)
不整形 進行した浸潤癌 表面は細かい凹凸 注入による美容形成
索状 めずらしい ほとんどない ない 乳管拡張症、モンドール病
表面 粗い 厚い実質を通し平滑な表面を触れる 平滑  
境界面 浸潤性のことが多い 明瞭な部分がある 鮮鋭  
皮膚との癒着 あり得る ない ない 脂肪壊死ではよくみられる
基底の癒着 あり得る ない ない 注入による豊胸術でときにみられる
可動性 制限されることが多い 周囲乳腺とともに動く きわめてよく動く  
硬度 あまり固くないものも多い 固いことはまずない
嚢胞では波動を触れることができる
弾性である 注入豊胸術ではきわめて固いものがある

乳がん自己触診法

1.
指の腹や、手の平でなでたり、軽くつまむ触診法。
2.
上向きに寝て、胸を張った状態にするため、検査する側の乳房の肩下に薄い枕をさしこむと良い。
3.
2、3指をそろえ、その指腹側で触れる平指腹法と、手の平全体で触れる平手法がある。

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